医療経営政策学講座

多数の医療施設からの診療データを患者さんのプライバシーを守りながら活用する。
医療経営政策学講座の紹介

医療は医療施設内だけで完結しているわけではなく、新しい優れた治療法の公表と他施設への普及、医薬品・医療機器・医用材料の改良、さらに医療制度の改善やそれを実現する政策により支えられています。このような活動のために、医療施設内での診療に伴い日々発生するデータを大規模に集積して役立てることが期待されています。

医療施設内で発生した診療データは、患者さんのプライバシーを守るための処理(匿名化等)をおこなったあと、安全な環境で様々な目的で解析されます。その結果は、治療手法、医薬品、医療制度等に反映され、患者さんのいる医療現場で活用されるべく戻ってきます。

このとき、データ元の医療施設の数が多ければ多いほど、より精密で、特定の医療施設の事情に影響されない解析ができるため、できるだけ多くの医療施設からのデータを活用するための仕組みの構築が進められています。

「診療データの2次利用」の循環

検査・診断・治療に伴い記録される診療データは、医療施設内のコンピューターに蓄えられていきます。このデータを変換してデータベースに整理し、利用する前に個人情報を削除する匿名化処理を行い、匿名化2次利用データベースを作成します。

※1次利用:ある患者さんの診療データをその患者さんの診察や治療に直接的に用いる。

※2次利用:多くの診療データを元に、現場の工夫、新治療法、新薬、注意喚起、制度改善等を行い、医療を全体として向上させることで、患者さんの治療に役立てる。

「診療データの2次利用」の流れ

講座と関連する公的な取り組み

レセプトのナショナルデータベース(NDB)

医療施設からの保険請求データ(レセプトデータ)を匿名化して全国的に集積した、厚生労働省によるデータベースです。

レセプト全体の98%以上をカバーし、100億件に近いデータを格納する、極めて大規模なものになっています。レセプト由来のデータであるため、検査の結果値等は入っていません。

レセプトのナショナルデータベース格納割合と件数

MID-NET(医療情報データベース基盤整備事業)

医薬品による副作用の発生状況等を把握・分析して安全対策に役立てるための情報基盤です。厚生労働省と独立行政法人医薬品医療機器総合機構により整備が進められ、東京大学医学部附属病院を含む全国で10の医療機関(23病院)が参加しています。医薬品の安全性対策に役立てるため、信頼性のあるデータベース作りに注力していること、単なる匿名化データベースではなく分析機能も持ち、データをシステム外部に出さずに分析できることが特徴です。

MID-NETに参加する医療機関および医療グループ

講座における研究

医療施設への所要時間推定

産科医療施設への各地域からの所要時間を推定しました。夜間では都市周辺部で所要時間が長くなること、県境では越境した隣県の医療施設の方が近い地域が広がっていることが確認できます。

「産科・婦人科」への到達時間

副作用シグナルの自動検出システム

医療経営政策学講座では、電子カルテからの検査値を含むデータを用い、新しく使用されるようになった医薬品(新薬)と患者さんに発生した有害事象との関連を検出するシステムを試作しました。このシステムでは医薬品の指定が不要で、副作用を起こしている可能性のある医薬品を自動的に発見します。

副作用シグナルの自動検出システム
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